AMラジオを聴いてると、CMでよくワイドFMのフレーズを聴くよね。ワイドFMはFM補完放送と言って、外国の放送との混信が問題になっていてその対策として始まったもの。
例えば文化放送は1134kHzの周波数で放送しているのだけど、同じ周波数で韓国のKBSラジオが文化放送より5倍の送信出力で送信してるので関東圏で混信が問題となっている。
※文化放送の送信出力:100kW、韓国KBSの送信出力:500kW
この混信の対策となったのがFMの周波数で送信すること。でも、周波数が従来のFMに比べて「90.1MHz~94.9MHz」と高くなっている。
AMラジオが混信する理由と混信対策にワイドFMかについて書いていく。
AMラジオ(中波)が混信する理由
AMラジオ(中波)は、昼より夜のほうが遠くの放送が聴けるのを経験したことはないだろうか、混信の理由を話す前に少しAMラジオの電波について説明する。
詳しくは省略するけど、中波の電波を反射する電離層ってのが上空にあって、日中は反射しないけど太陽が沈んだ夜に反射するようになっている。
地球は丸いから直進する電波は届かないけど、夜になると絵のように大陸からの電波が上空の電離層を反射して届く。
これを利用したのが遠距離受信で、遠く離れた場所でも電波が山を越えて東京や関西などの番組を聴くことができる。深夜番組で放送されてない地域からお便りが来るのもこれが理由。
※今は、radikoどのネット上で全国のラジオが聴けるんだけどね
遠距離受信と同じ理由で、外国(主に韓国・中国・ロシア)の放送局も聞こえるから、日本のラジオ局と同じ周波数の外国の放送局が混信する。しかも、送信出力が日本のラジオ局より高いからエリア内でも外国の番組が混信することがある(電波が強い場所でも番組とCMの間などの無音の時によく耳を澄ますと聞こえることも)。
AMラジオの混信対策にワイドFM
AMラジオの混信対策をしたのがワイドFM(FM補完放送)。FMラジオはAMラジオのような遠距離受信が出来ないけど、その分、外国の放送の電波が入らないのでエリア内の懇親対策になる。
ワイドFM以前(1991年)から富山県にあるKNB(北日本放送)では外国との混信対策にFMで放送している(80.1MHz)
ワイドFMが全国に広まったのは、地上デジタル放送完全移行で使える周波数が増えたから。だからワイドFMの周波数は「90.1MHz~94.9MHz」になる。かつてあった地上アナログ放送で例えばNHK総合(東京)はVHFの1ch、なのでワイドFMと同じ周波数の93MHzが使われていた。
この部分がアナログ放送終了してから使えるようになったので、AMラジオの混信対策にワイドFMとして利用した。
さらに、ワイドFMは混信対策だけでなくAMラジオで実現できなかったFMラジオと同等のクリアなステレオ放送で番組が楽しめる。(東名阪など一部地域でAMステレオ放送がありましたけど)
ワイドFMが使えないラジオ
ワイドFMは「90.1MHz~94.9MHz」なので、ワイドFM対応と明記していない製品では主にデジタル選局のカーラジオやコンポなど幅広い製品が非対応となっている。もちろん、AM専用ラジオはFM受信ができないので非対応。
僕の使っている製品では2004年の車に付いてきたカーラジオや2010年製ウォークマン、2012年製スマートフォン『Xperia AX SO-01E』でもワイドFMに対応していなかった。
逆にワイドFMに対応している製品はというと、ワイドFM対応と明記しているものは当然として、古いものでもアナログテレビの1ch~3chまで受信できるラジオだと受信できる。
アナログ選局のラジオはTV3chまでが選局範囲なので、かなり古いラジオでもワイドFMが受信可能。
デジタル選局だと対応周波数の範囲を確認する必要があるけど、アナログ選局でテレビの音声も聞けるならワイドFMに対応している。古いものでも今も生産を続けてる製品にはワイドFM対応と表記してある。
ワイドFMに対応したタイマー録音機能がある携帯ラジオも書いてるので参考に
まとめ
ワイドFMの目的はAMラジオの混信対策が目的でが、音楽番組などがステレオで楽しめるのも僕的には特徴かと思います。中波のように遠距離受信はできませんが、エリア内のAMラジオワイドFMで混信なくクリアで聴けるメリットは大きいですね。